*バンニール[van Niel, C. B.]
  van Niel, CornelisBernardus, 1897-1985.オランダ生まれ,米国で活躍した微生物学者.紅色硫黄細菌は光合成で酸素を発生しないという[[モーリッシュ]]の発見を紅色硫黄細菌と緑色硫黄細菌とについて再確認し,細菌型光合成では硫化水素や水素が二酸化炭素の還元に用いられること,二酸化炭素還元の必要な光量子数は電子供与体(水素,硫化水素など)の酸化還元電位とは無関係に一定であることを明らかにし,これをもとに[[細菌型光合成]]([[非酸素発生型光合成]])も酸素発生型光合成も	CO&subsc(2);+2H&subsc(2);A+光→(CH&subsc(2);O)+2A+H&subsc(2);Oという共通の反応式で表現されることを示した.すなわち,いずれの光合成も基本的な反応は,水の光による酸化単位と還元単位への分離	H&subsc(2);+光→[OH]+[H]で,還元単位[H]は二酸化炭素の還元に,また酸化単位[OH]は植物では酸素発生に,細菌型光合成では硫化水素や水素などの電子供与体との反応に用いられるというモデルで,その後の光合成理解の基本的な概念となった. 1960年代に酸素発生型光合成で2つの光化学系の協調が明らかにされ,バンニールのモデルは修正されることになったが,光による電荷分離が光合成の基本であるという概念はバンニールの業績に由来している.


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