*色素体分裂[plastid division]
  色素体は新規に形成されることはなく,既存の色素体の二分裂によってのみ増殖する.色素体のほぼ中央で内包膜と外包膜が同時にくびれこみ,最終的に狭窄部において両包膜がそれぞれ融合して分裂が完了する.分裂部位の外包膜の細胞質側表面と内包膜のストロマ側表面のそれぞれに高電子密度の[[色素体分裂リング]]が形成される.色素体分裂リングのほかに,細菌の分裂リングであるFtsZリングと相同な色素体FtsZリングが分裂部位の内包膜のストロマ側に形成される.分裂に必要な力は細胞質側の色素体分裂リングによって発生することが原始紅藻Cyanidioschyzonmerolaeの研究から示唆されている.色素体分裂リングとFtsZリングが色素体の分裂装置を構成し,収縮することによって色素体分裂が進行し,最終段階において狭窄部の細胞質側表面にダイナミン様タンパク質から成るリングが形成され,その収縮によって包膜の融合が起こり,分裂が完了すると考えられている.これら分裂装置のタンパク質と色素体DNAの複製に関わるタンパク質はすべて核ゲノムにコードされている.色素体FtsZリングは色素体の祖先であるシアノバクテリア様細胞内共生体から継承され,現在の形に進化したと考えられている.細菌の細胞分裂面の決定に関わるminC, minD,minEタンパク質のうちminD, minEについても,それらのホモログが色素体分裂に関わっていることがシロイヌナズナで示されている.一方,色素体分裂リングは細胞内共生の成立過程で新たに獲得された可能性が高い.色素体の二分裂と同時に,色素体核様体が娘色素体に分配される.しかし,色素体の分裂周期には細胞周期のS期に相当する時期はなく,色素体DNAの複製と色素体分裂の間に強い共役はない.(→色素体包膜)


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[色素体包膜]]


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