*解糖系[glycolysis] [#mba13e51]
  [[グルコース]],*フルクトースなどの六炭糖を嫌気的に分解し[[ピルビン酸]]を生じる経路.本経路を担う酵素は主に細胞質に存在するが,色素体,特に[[アミロプラスト]]にも存在する.代謝の過程で[[ATP]]および*NADHを生産する.[[デンプン]],[[ショ糖]],フルクタンなど貯蔵炭水化物に由来する[[フルクトース6-リン酸]]は,*ホスホフルクトキナーゼ(PFK)の作用によりATPを消費してフルクトース1,6-ビスリン酸(F&subsc(B);P)となる(植物にはこの反応を触媒する別の酵素も存在する.ピロリン酸ホスホフルクトキナーゼで,この酵素は正逆両方の反応を触媒するが,その働きについては未解明である).さらに*アルドラーゼの触媒により,相互変換が容易なグリセルアルデヒド3-リン酸(GAP)ならびにジヒドロキシアセトンリン酸に開裂される.GAPは, NAD&supsc(+);依存型グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ,ホスホグリセリン酸キナーゼ,ホスホグリセリン酸ムターゼ,エノラーゼ,ピルビン酸キナーゼ(PK)による一連の触媒によりピルビン酸へと変換される.1分子のF&subsc(B);Pが2分子のピルビン酸に変換される過程で,2分子のNADHと4分子のATPが合成される.植物の解糖系は, PFKが解糖経路の中間体[[ホスホエノールピルビン酸]]により強いフィードバック阻害を受け,また無機リン酸により活性化されることにより制御されるが, F&subsc(B);PによるPKの活性化や[[フルクトース2,6-ビスリン酸]]によるPFKの活性化などの制御は受けない点で動物の解糖系と大きく異なる.また非リン酸化NADP&supsc(+);依存型グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼが,ホスホグリセリン酸キナーゼの触媒段階をバイパスするなど,代謝経路は他生物に比べて柔軟かつ複雑である.本経路で生じたピルビン酸は[[TCA回路]]によりATPの生成に用いられるほか,各種の炭水化物の生合成の前駆体として利用される.イネ等の嫌気耐性を持つ植物では,嫌気下での解糖において,PPiに依存した経路があることが分かっている.嫌気条件になると,PPi依存型の解糖系酵素であるホスホフルクトキナーゼ(PFK-PPi)やピルビン酸ホスホジキナーゼ(PPDK-PPi)が誘導される.これは,PPiのP-O-P結合が,ATPと同様に生化学反応を進めるためのエネルギーを蓄えられるため,エネルギー不足に陥るとATPの代わりにエネルギー通貨となるからである.このエネルギーは,スクロース分解,また溶質輸送やpH調節時のH&supsc(+);勾配を維持するためのトノプラストH&supsc(+);-PPiaseを介したH&supsc(+);ポンプの駆動に使われる.
  [[グルコース]],*フルクトースなどの六炭糖を嫌気的に分解し[[ピルビン酸]]を生じる経路.本経路を担う酵素は主に細胞質に存在するが,色素体,特に[[アミロプラスト]]にも存在する.代謝の過程で[[ATP]]および*NADHを生産する.[[デンプン]],[[ショ糖]],フルクタンなど貯蔵炭水化物に由来する[[フルクトース6-リン酸]]は,[[フルクトース-6-リン酸キナーゼ]](ホスホフルクトキナーゼ, PFK)の作用によりATPを消費してフルクトース1,6-ビスリン酸(F&subsc(B);P)となる(植物にはこの反応を触媒する別の酵素も存在する.ピロリン酸ホスホフルクトキナーゼで,この酵素は正逆両方の反応を触媒するが,その働きについては未解明である).さらに*アルドラーゼの触媒により,相互変換が容易なグリセルアルデヒド3-リン酸(GAP)ならびにジヒドロキシアセトンリン酸に開裂される.GAPは, NAD&supsc(+);依存型[[グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ]],ホスホグリセリン酸キナーゼ,ホスホグリセリン酸ムターゼ,エノラーゼ,ピルビン酸キナーゼ(PK)による一連の触媒によりピルビン酸へと変換される.1分子のF&subsc(B);Pが2分子のピルビン酸に変換される過程で,2分子のNADHと4分子のATPが合成される.植物の解糖系は, PFKが解糖経路の中間体[[ホスホエノールピルビン酸]]により強いフィードバック阻害を受け,また無機リン酸により活性化されることにより制御されるが, F&subsc(B);PによるPKの活性化や[[フルクトース2,6-ビスリン酸]]によるPFKの活性化などの制御は受けない点で動物の解糖系と大きく異なる.また非リン酸化NADP&supsc(+);依存型グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.9)が,ホスホグリセリン酸キナーゼの触媒段階をバイパスするなど,代謝経路は他生物に比べて柔軟かつ複雑である.本経路で生じたピルビン酸は[[TCA回路]]によりATPの生成に用いられるほか,各種の炭水化物の生合成の前駆体として利用される.

イネ等の嫌気耐性を持つ植物では,嫌気下での解糖において,PPiに依存した経路があることが分かっている.嫌気条件になると,PPi依存型の解糖系酵素であるホスホフルクトキナーゼ(PFK-PPi, EC 2.7.1.90)や[[ピルビン酸・リン酸ジキナーゼ]](PPDK)が誘導される.これは,PPiのP-O-P結合が,ATPと同様に生化学反応を進めるためのエネルギーを蓄えられるため,エネルギー不足に陥るとATPの代わりにエネルギー通貨となるからである.このエネルギーは,スクロース分解,また溶質輸送やpH調節時のH&supsc(+);勾配を維持するためのトノプラストH&supsc(+);-PPiaseを介したH&supsc(+);ポンプの駆動に使われる.



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