アセチルCoA カルボキシラーゼ[acetyl-CoA carboxylase]

  EC 6.4.1.2. 脂肪酸合成の最初の反応,アセチルCoAからマロニルCoAの生成を触媒する酵素.ビオチンカルボキシラーゼ(BC),ビオチンカルボキシルキャリヤータンパク質(BCCP),カルボキシルトランスフェラーゼ(CTα, CTβ)から成り,脂肪酸の合成を律速している.反応は下式の2段階で進行する.
BCCP+HCO3-+ATP①→-CO2-BCCP+ADP+Pi
-CO2-BCCP+アセチルCoA②→BCCP+マロニルCoA
①ビオチンカルボキシラーゼ,②カルボキシルトランスフェラーゼ

 自然界では4種類のポリペプチド(遺伝子名:accA(CTα),accB(BCCP),accC(BC),およびaccD(CTβ))から成る大腸菌型酵素と,必要なドメインをすべて含む1本のポリペプチド(遺伝子名:ACC)から成る動物型酵素とがある.植物では細胞質ゾルに動物型酵素が,プラスチドに大腸菌型酵素がある.細胞質ゾルの酵素はフラボノイド合成や脂肪酸鎖延長に必要なマロニルCoAを,プラスチドの酵素は脂肪酸合成に必要なマロニルCoAを供給している.これらの酵素遺伝子のうちaccDだけがプラスチドゲノムにある.イネ科植物では大腸菌型酵素が欠損し,動物型酵素が細胞質ゾルとプラスチドにある.この欠損を利用したイネ科特異的除草剤がある.葉緑体の本酵素は光で活性化され,光合成と脂肪酸合成が協調するものもある.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:39