イオノフォア[ionophore]

  放線菌などから得られる抗生物質や合成有機化合物で,生体膜やリポソームなどの人工脂質膜において特定のイオンに対する透過性を高める機能をもつ物質.イオンを包み込んだ形で膜内を移動するキャリヤー型と,膜にイオンの通過できるチャネルを形成するチャネル型とがあり,膜内外での当該イオンの濃度差および膜電位を解消する機能をもつ.特定のイオンのみを透過させる性質を利用して,このイオンの拡散電位により定量的に膜電位を形成させることにも利用される.2種類以上のイオンに特異性をもつものは,それらのイオンの濃度差に応じて交換輸送を行う. pH差膜電位に変換する場合や,組み合わせて脱共役剤として用いられる場合もある.1価イオン輸送体としては,K+に特異的なバリノマイシン,H+,K+の交換輸送に使われるナイジェリシン,モネンシン, Na+, K+などの1価陽イオンの交換輸送能をもつモナクチン,チャネルを形成しH+,K+を輸送するグラミシジン,アラメシチンなどがあり,Ca2+などの2価陽イオンに特異性の高いものとしてA23187, X537A,イオノマイシンなどが知られている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:02