高速液体クロマトグラフィー,分光光度計による方法が一般的に知られている.高速液体クロマトグラフィーによる方法は,検出感度が高い,再現性がよい,多様なクロロフィル類を同時に測定できる,などの多くの長所がある.高速液体クロマトグラフィーによる分析に際して正確に定量するためには,抽出にはメタノールを避けてアセトンなどを用いる,抽出中や分析中になるべく光をあてない,抽出後にすぐに分析を行う,などの注意を払う必要がある.
測定対象が陸上植物である場合は,分光光度計で,以下のPorraらの式によって定量を行う方法が近年では最もよく用いられている.この場合, -20℃であらかじめ冷やしたアセトンを用いて植物組織などからクロロフィル類を抽出し,最終的に80%アセトン(2.5mMリン酸ナトリウム緩衝液pH 7.8でアセトンを希釈する)中で750 nm, 663.6 nm,646.6 nmの3波長において吸光度を測定し, 663.6nm, 646.6 nmのそれぞれの値からバックグラウンドとして750 nm の値を差し引いた値を用いて計算する.
クロロフィルa(μg/ml)=12.25 x (A663.6)-2.55 x (A646.6)
クロロフィルb(μg/ml) =20.31 x (A646.6)-4.91 x (A663.6)
陸上植物であれば,上記の式で計算したクロロフィルaとクロロフィルbの比は多くの場合, 2.5~4.5の範囲内におさまる. Porraの式が発表された1989年以前は以下に記すArnonの式が最も頻繁に用いられていた.以下の式は80%アセトン(アセトンと水を4:1(体積比)で混合)中における663 nm, 645 nmの吸光度を計算に用いる.
クロロフィルa(μg/ml) =12.7 x (A663)-2.59 x (A645)
クロロフィルb(μg/ml)=22.9 x (A645)-4.67 x (A663)
上述の方法のほかに,蛍光分光光度計による測定も可能である.