クロロフィルaエピマー[chlorophyll a epimer]

 chlorophyll a'(Chl a')とも書かれる.クロロフィルaは4つのピロール環Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ環(A,B,C,D環と呼ばれる)とⅢ環(C環)に接してシクロペンタノン環,V環(E環と呼ばれる)が存在する.これらの環を構成する炭素原子の4本の手のうち2本で隣の炭素原子と環を構成し,かつ残りの2本の手で2個の異なる基を結合しているとき,この2つの基の立体配置によって幾何異性体が存在する.クロロフィルaにはこのような炭素原子が3個存在し(C132, C17, C18位:IUPAC命名法による),このうちV環(E環)の132の位置にある炭素原子に結合している-Hと-COOCH3基の立体配座がクロロフィルaと逆転しているものをクロロフィルaエピマー(正式にはC132 epimer of chlorophyll a)と呼んでいる.クロロフィルaエピマーは分光学的にはクロロフィルaと区別できないが,クロリン環面に対して, C132位の-COOCH3基とC17位に結合しているフィトール基が同じ方向にくるため,クロロフィルaに比べて二量体をつくりやすいなど,物理的性質が異なる.光化学系ⅠにおいてP700当たり1分子存在しており, (Chl a/Chl a')の二量体としてP700を構成していることが明らかになっている.(→光化学系Ⅰ一次電子供与体,バクテリオクロロフィルgエピマー)

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:25