シグナルペプチダーゼ[signal peptidase]

 広義には細胞内局在化に必要なシグナル配列を切断除去するプロテアーゼ一般を指す。狭義には、原核生物で、リーダーペプチダーゼと呼ばれる細胞質膜を介した分泌過程で働くプロテアーゼや、そのホモログにあたるプロテアーゼの事を指し、真核生物においては、小胞体膜を介した分泌の際に働くものの他、ミトコンドリアや葉緑体にも存在している。  葉緑体タンパク質の場合は、多くは核コードでN端にトランジットペプチドと呼ばれるアミノ酸配列が付加した前駆体として細胞質ゾルで合成され,葉緑体に移行後,まずストロマのストロマプロセシングペプチダーゼ(SPP)によりトランジットペプチドが切断,除去される.SPPは 124 kDa のストロマの可溶性酵素で,HXXEH モチーフからなる亜鉛結合サイトを有する典型的な金属プロテアーゼである.さらにチラコイドまで運ばれるタンパク質の場合は、チラコイドへ局在化するためのシグナル配列を有し、この配列はチラコイドに存在するシグナルペプチダーゼ SPase I (もしくは Plsp1 と呼ばれる)によって切断,除去される.このシグナルペプチダーゼはチラコイドプロセシングペプチダーゼ(TPP)とも呼ばれる。このペプチダーゼは、狭義のシグナルペプチダーゼと進化的に関連があり、活性部位にSer-Leuモチーフを持つ典型的なセリンプロテアーゼである。


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:20