デンプン枝切り酵素[starch debranching enzyme(DBE)]

  デンプンなどのα-ポリグルカンのα-1,6グルコシド結合を加水分解する酵素の総称.植物のデンプン枝切り酵素(DBE)にはプルラナーゼ(PUL:EC3.2.1.41.別名 R酵素,リミットデキストリナーゼ)型とイソアミラーゼ(ISA:EC3.2.1.68.)型の2種類がある.イソアミラーゼはその1次構造からさらにISA1,ISA2とISA3に分類される.両酵素型とも葉緑体やアミロプラストに局在するが,それぞれの酵素化学的性質は明確に異なる.プルラナーゼは基質としてプルランや限界デキストリンを好み,アミロペクチンやグリコーゲンの枝切りができないのに対し,イソアミラーゼはプルランに作用しない.

 植物DBEは種子発芽時の貯蔵デンプンや暗期における葉同化デンプンなどが分解される際に働くとともに,デンプン合成の場ではアミロペクチンのクラスター構造をトリミングするというデンプンの合成・分解の両面の機能を有する.正常なデンプン集積が起こらずフィトグリコーゲンが蓄積するトウモロコシやイネのsugary-1変異体の原因遺伝子はISA1である.ISA2は活性部位を失っており,単独では酵素活性を持たない.しかし,ISA1-ISA2ヘテロ複合体があらゆる植物に普遍的に存在し,双子葉植物ではISA1-ISA2ヘテロ複合体が機能していることが示されている.イネやトウモロコシの胚乳ではISA1-ISA2ヘテロ複合体とともにISA1ホモ複合体が存在し,イネ胚乳ではISA1ホモ複合体が主に働いている.ISA3はデンプン分解に関与し,PULはISA1の補助的役割を果たすと考えられている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:02