プラストシアニン結合タンパク質[plastocyanin-docking protein (PsaF)]

  光化学系Ⅰ構成ポリペプチドの一つで, PsaFと呼ばれる.分子量約1.57万.光化学系Ⅰ複合体の周辺部に存在しており,膜貫通αヘリックス部分とルーメン側に大きく延びたポリペプチド鎖部分から成る.高等植物や藻類ではルーメン側ポリペプチド鎖でプラストシアニンと結合し,プラストシアニンからP700への電子移動速度を高める役割を担っている.しかし,シアノバクテリアのPsaFはプラストシアニンと結合する構造はもっていない.そのため,シアノバクテリアではプラストシアニンがP700へ電子を渡す速度は,高等植物や藻類でPsaFがない場合の速度と同程度に遅い.また,シアノバクテリアや藻類では銅欠乏条件下で培養すると,シトクロムc6(c552)がP700への主要な電子供与体として働くようになる. PsaFのプラストシアニンへの特異的な結合能力は高等植物になって初めて獲得されたと考えられる.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:47