プロトン-ATPase[H+-ATPase]

  生体膜に存在し, ATPの加水分解と共役してH+を輸送するイオン輸送性ATPaseの総称.プロトンポンプとも言う。F型ATPase, V型ATPase, P型ATPaseに大別される.F型ATPaseは,真核生物のミトコンドリアや葉緑体に存在し,プロトン輸送に共役してATP合成を行う.V型ATPaseはF型ATPaseと進化的に近縁で,真核生物ではATP加水分解に共役したプロトン輸送を行い,細胞内酸性小胞(液胞,ゴルジ装置,リソソームなど)の酸性化を行う.細菌ではF型ATPaseは主に真正細菌に分布し,ATP合成を行う場合と,H+輸送によるpH調節を行う場合がある.V型ATPaseは主に古細菌に分布する.古細菌のV型ATPaseを特にA型ATPaseと呼ぶこともある.P型ATPaseには,胃粘膜の壁細胞に存在する胃酸分泌酵素(H+, K+-ATPase)などが含まれ,反応過程でリン酸化中間体を形成する.プロトン-ATPaseは,狭義にはATP合成酵素であるF型ATPase (FoF1)をさすが,プロトン輸送を目的として働いているH+,K+-ATPaseをさす場合もある.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:07