ホスファチジルイノシトール[phosphatidyl-inositol]

  ホスファチジン酸のリン酸残基にmyo-イノシトールがエステル結合したリン脂質で,植物細胞では主にミクロソーム画分やミトコンドリアに存在し,色素体膜にも微量だが含まれている.植物のホスファチジルイノシトールはホスファチジルイノシトール4-リン酸,さらにホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸へとリン酸化される.ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸はホスホリパーゼCの働きでセカンドメッセンジャーであるイノシトール1,4,5-トリスリン酸(IP3)を生成するが,IP3はアブシジン酸の作用時や環境応答の際の細胞内カルシウム振動に関与する.ホスファチジルイノシトールからホスファチジルイノシトール3-リン酸ヘリン酸化する経路も知られており,植物の成長制御との関連が示唆されている.ホスファチジルイノシトールを結合した糖タンパク質(GPIアンカータンパク質)が細胞膜に知られており,アポプラストタンパク質の機能発現に一役かっている.


トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:34