メスバウアー分光法[Moessbauer spectroscopy]

 原子核によるγ線の共鳴吸収を利用した分光法.光合成では鉄硫黄クラスター,非ヘム鉄の研究に用いられる.光化学系Ⅰの鉄硫黄クラスターの種類の同定,光化学系Ⅱの非ヘム鉄の酸化状態の推定などに適用された.吸収スペクトルには原子核位置での電子密度,核の周りの電場勾配,核位置での磁場などが反映されており,酸化数とスピン状態のほか,結合の電子状態や結合の異方性に関する情報が得られる.鉄の測定では57Coが, 57Feの励起状態を介して57Feの基底状態へ崩壊するとき放出される14.4 keV のγ線を線源とし, 57Feによる共鳴吸収を測定する.試料または線源をγ線の進行方向に対して運動させ,ドップラー効果により波長を変化させる57Feは天然存在比が2.2%なので,良好なスペクトルを得るためには57Feを濃縮した試料を用いる必要がある.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:43