メタン生成菌[methanogen]

嫌気的条件下に水素ガスを二酸化炭素で酸化してメタンを生成する化学無機栄養(独立栄養)の古細菌の総称.メタン菌とも呼ばれる. Methanobacterium属をはじめ,すべてのメタン生成菌はこの反応を行う. Methanosarcina属など多種のメタン生成菌は水素ガスを二酸化炭素で酸化するほかに,メタノールやメチルアミンからメタンを生成し,さらに酢酸からメタンを生ずる.かつてエタノールからメタンを生成するといわれたMethanobacterium omelianskiiは2種の生物の混合培養であったので,この菌の名称は削除されたが,現在ではごく限られたメタン生成菌がエタノールからもメタンを生成することが知られている.メタン生成菌が水素ガスと二酸化炭素からメタンを生成するのはATPを生成するためであるが,そのATPはATP合成酵素により生成されるので,メタン生成反応はメタン発酵ではなく二酸化炭素呼吸(または炭酸呼吸)と呼ばれる.メタン生成過程では,二酸化炭素はテトラヒドロメタノプテリンなどに結合した状態で順次還元されるので、C1代謝と呼ばれることもある.また,メタン生成菌の二酸化炭素固定は,このC1代謝とともに一酸化炭素デヒドロゲナーゼとコリノイド酵素,アセチルCoA合成酵素複合体が働く還元的アセチルCoA経路を介して行われる.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:53