二電子ゲート[two-electron gate]

  光化学反応中心では,1光量子を吸収した反応中心クロロフィルが酸化還元電位の低い電子伝達体を一電子還元し,クロロフィル自身は一電子酸化されるという電荷分離反応が起こる.光化学系Ⅱにおいても,反応中心であるP680からフェオフィチンQAキノン電子受容体に至る電子伝達反応は一電子移動反応である.ところが,光化学系Ⅱ複合体と[[シトクロムb6f複合体>シトクロムb6f複合体]]の間で電子伝達を行うプラストキノンは二電子伝達体である.この一電子移動と二電子移動反応を仲介するものとしてQBキノン電子受容体((QB)が存在する.QBは2回の一電子還元を受けた後,プラストキノンを二電子還元する,二電子ゲートと呼ばれる機能を担っている.一電子還元状態のセミキノンラジカルは一般的には不安定で反応性が高いが,QBは光化学系Ⅱ反応中心のD1タンパク質に結合することによってセミキノンラジカルとして安定に存在できると考えられる.セミキノン状態のQB量を閃光照射後DCMU添加時の発光強度で調べると,2周期で振動するのが観察される.QAQB型反応中心をもつ光合成細菌でもQBは二電子ゲートとして働いている.(QAキノン電子受容体,QBキノン電子受容体)


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:50