低温馴化[cold acclimation, low temperatureacclimation]

  温帯域に生育し越冬する植物は,0~5℃の非凍結の低温を数日から1カ月経験することにより,凍結抵抗性(freezing resistance, freezingtolerance)を向上させる.この現象を低温馴化と呼ぶ.低温馴化では,糖・プロリンの蓄積,膜脂質の変化,低温誘導性タンパク質の発現などの変化が起こり,凍結抵抗性との関連が示唆されている.また,凍結抵抗性の上昇に直接関与する低温誘導性転写因子CBF/DREB1が同定されている.低温馴化では,凍結抵抗性の上昇だけでなく,光合成関連遺伝子の発現制御にも変化がみられる.植物にアブシジン酸(ABA)を塗布すると凍結抵抗性が上昇し,低温でABAの蓄積がみられることから,低温馴化におけるABAの関与が示唆されている.しかし,低温でのABA蓄積が一過的であり,植物によってはABA合成変異株でも低温馴化して最大凍結抵抗性を獲得することなどから,低温馴化におけるABAの関与については今後の研究を待つ必要がある.


トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:02