偽遺伝子[pseudogene]

  機能的な遺伝子と類似した配列をもっているにもかかわらず,正常な遺伝子産物をつくれず遺伝子として機能しないDNA配列.遺伝子の配列に欠失,挿入などの変異が生じて,遺伝子の構造が壊れている例がほとんどであるが,遺伝子の構造は正常でも遺伝子発現に異常があって遺伝子として機能していない例もある.葉緑体ゲノムでみられる偽遺伝子には,オルガネラゲノムから核ゲノムヘ遺伝子が転移しオルガネラゲノム上に残った遺伝子が偽遺伝子化したものや,逆位などのゲノム内での組換えの際に遺伝子重複が起こり重複した遺伝子の一方が偽遺伝子として残ったものなどがある.光合成を行わない寄生植物では葉緑体ゲノム上の遺伝子の半数近くが欠失や偽遺伝子化しているという極端な例もある.また,葉緑体ゲノム断片がミトコンドリアゲノムや核ゲノムに,ミトコンドリアゲノム断片が核ゲノムに転移して偽遺伝子化している例も多く見つかっている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:57