酸素濃度が上昇すると光合成が阻害される現象.発見者のWarburg (1920)の名をとってワールブルク効果ともいう. Rubisco (ルビスコ)の反応中心でCO2とO2とが競合するために起こる現象である. RubiscoのCO2に対する親和性はO2に比較して高いが,大気中のCO2濃度が約0.03%に対して02濃度は21%であり,また葉緑体内ではCO2は同化されO2は発生しているので, Rubisoの周りではCO2濃度が低く,O2濃度は高い傾向にある.そのため大気中のO2濃度を2%にまで下げると,C3植物のCO2同化速度は高くなる.この場合2%O2を基準にすると, 21%O2は光合成を阻害していることになる. CO2濃度を高くすると,酸素による光合成阻害率は小さくなる. CO2濃縮機構をもつC4植物や藻類では,酸素阻害は認められない.高温になるほど酸素による光合成の阻害効果は大きくなるが,その理由は,高温下でCO2の溶解度がO2より大きく低下するためである.光合成の酸素阻害がみられるのはRubisco周辺のCO2濃度が低いときなので,このとき酸素阻害を取り除くためにO2濃度を下げると光傷害が進行する.したがって,一般に酸素濃度を下げることによりC3植物の光合成を長期間増加させ続けることはできない.