光合成単位[photosynthetic unit]

  1932年にEmersonとArnoldによって導入された概念で,酸素発生型光合成生物において,1分子の酸素を発生するのに必要なクロロフィル,および酸化還元成分を含む分子構築を意味する. Emersonらはクロレラ生細胞についてクロロフィル分子数として2,000~3,000分子という値を提示したが,近年明らかにされた反応中心とそれに付随するアンテナクロロフィルの数(約300分子)と酸素発生に8回の光化学反応が必要なことを考えると, 2,400分子という値が得られ,最初の報告の妥当性が裏づけられた.この概念の導入は,生化学的にまったく情報がない時代に,光化学反応系の構成に関する情報を的確に与えていたという点で先駆的であった.最近では,酸素発生や二酸化炭素の固定よりは,反応中心での光化学反応を起こす構成単位としてとらえられることが多く,それによって,酸素発生型光合成生物においても,また光合成細菌においても共通した考え方で理解されるようになった.これによって,光合成単位の大きさが生育条件などにより変動することも同時に理解されるようになった.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:58