光屈性[phototropism]

  屈光性ともいう.植物や菌類で見られる現象で,光の方向に屈曲する正の光屈性と,光とは反対方向に屈曲する負の光屈性がある.高等植物では葉や茎は正の光屈性を示し,根は負の光屈性を示すのが一般的である.光照射側と逆側とで細胞の成長に差を生じることで光屈性が起こる.光受容量の違いによって生じる屈曲部のオーキシンの不均等分布が要因であると考えられている.光屈性には青色光と近紫外光が有効である.光屈性の光受容体は長年不明であったが,シロイヌナズナの胚軸の光屈性変異体の解析から,フォトトロピン1が光屈性の青色光受容体として同定された.フォトトロピン1はフラビンタンパク質であり,N末端領域に2つのLOVドメインを,C末端領域にセリン・スレオニンキナーゼの配列を有する.フォトトロピン1が弱光から強光までほとんどの光強度で機能するのに対し,そのホモログであるフォトトロピン2は強光で働く光受容体である.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:05