太陽電池[solar cell]

  太陽光のエネルギーを利用することを目的としてつくられた光電池.シリコンを素材とする太陽電池が最も多く利用され,単結晶(single crystal),多結晶(poly crystal),アモルファス(amorphous)の3種類が知られている.,実験室レベルでの変換効率はそれぞれ25%,20%,13%程度である.単結晶シリコンはイレブンナイン程度の高純度のものに不純物を入れてp型,もしくはn型としたものを薄切りウェハーにし,p型にはリン,n型にはホウ素をドープすることによりpn接合を形成し作製する.直径10 cm 以上の円盤形が基本形で色は青黒く輝いている.多結晶シリコンは,インゴットを薄くスライスした多結晶ウェハーを用いて作製される.効率は単結晶に比べやや低いが,比較的低コストであり,現在我が国で生産されている太陽電池の主流である.薄膜型のアモルファスシリコンは,真空中モノシランなどの半導体の原料ガスを分解させ導電性ガラス基板上に順々に堆積させることで製造する.厚さが結晶型に比べ薄くてすむので製造コストの面で有利である.色は赤みを帯びる.
 薄膜型の太陽電池としては,その他にシリコンのハイブリッド型, Cu(InGa)Se2, CdTe太陽電池も開発されている.バルク型ではⅢ-Ⅴ族化合物のGaAs, InP太陽電池が効率の面で優れているのみならず,高温動作時の特性や,耐放射線性が優れていることから,高価ではあるが宇宙用など特殊用途用として開発された.
 最近,pn接合と異なる作動原理に基づく光化学電池,すなわち光合成模倣型太陽電池とも呼ばれる色素増感型太陽電池が注目されている.安価に製造できる可能性があるこの種の太陽電池は,紫外線によってしか励起されないTiO2などの酸化物半導体の表面に可視光を吸収する増感剤を吸着させ,光励起された増感剤から酸化物半導体の伝導帯に電子移動させるもので,電子を失った増感剤は系中の電解質溶液中の電子輸送体より電子を再び供給され再生される.また電子輸送体は対極より電子を供給され,再生される.10%程度の変換効率が報告されている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:43