好塩性[halophilism]

  一般的には高濃度の塩化ナトリウム環境で生育できる微生物(好塩菌)の性質をさすが,細胞が生育するためあるいは恒常性を維持するうえでむしろ高い塩濃度条件を必要とする点で塩耐性とは定義が異なる.微生物種により塩要求性の度合いには幅があり(低度,中度,高度),高度好塩菌は10% 以上の塩化ナトリウムを要求し,飽和濃度の塩化ナトリウム存在下で生育するものもある.好塩菌には浸透圧調節物質や適合溶質を蓄積したり,塩に対する生体膜の選択的排出機構を効率的に行うことにより高い塩耐性を獲得したものもあれば,きわめて高い好塩性を示す一部の古細菌のように原形質構成要素,たとえば酵素タンパク質そのものが塩耐性で酵素反応が高塩濃度で至適化したような特殊な場合もある.植物の場合は塩生植物という言葉が使われるが,この場合は一部の種を除いて必ずしもその生育に高濃度の塩を必要としているわけではない.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:46:12