孔辺細胞[guard cell]

  気孔を取り巻く一対の細胞で表皮細胞から分化したもので,気孔開閉に主役を果たす細胞である.細胞の長さは10~80μm,幅はその2/3程度である.細胞壁は気孔側が厚く,表皮細胞側か薄い.大きく分けて腎臓型と亜鈴型の2種類あり,亜鈴型のものは単子葉植物に限られ,イネ科ではそのすべてが亜鈴型である.双子葉植物のすべてとツユクサ,タマネギなどの多くの単子葉植物が腎臓型である.多くの植物の表皮では孔辺細胞にのみ葉緑体が存在する.ランの仲間Paphiopedilumのある種では孔辺細胞には葉緑体が存在せず,シダでは非常に多くの葉緑体が存在する.ミトコンドリアはよく発達し,数も多く,呼吸活性が高い.液胞,小胞体もよく発達し,液胞は気孔開・閉に重要な役割を果たしている.孔辺細胞はイオン輸送,植物ホルモンや光情報伝達研究の優れたモデル細胞である.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:12