日長[day length]

  一般には一日のうちの昼の長さをさすが,明暗交代サイクルにおける明期の長さをさすこともある.通常,明暗交代サイクルの周期の長さは一定(多くの場合は24時間)であるので,明期の長さと暗期の長さは独立に変化することはできない.そのため,日長条件というときには,明暗交代サイクルにおける明期と暗期の長さの組み合わせ(多くの場合は一日における昼夜の長さ)をさすことが多い.この意味で用いられる用語としては,光周期がより一般的である.
 太陽光にエネルギーを依存する光合成生物にとっては,一日のうちの明暗(昼夜)のサイクルに適切に反応することが適応上きわめて重要であり,光合成をはじめ様々な生理現象が明確な概日リズムを示す.日長は,地球の公転に伴い一年を周期として変化するが,温度などに比べて,その変化は規則的かつ正確である.特に,中緯度~高緯度の地域では,年間を通しての変化の幅が大きく,一日当たりの変化量も大きいため,季節の進行を知るための最も信頼できる指標となる.そのため,多くの植物種が,日長(光周期)を,成長と発生,特に花芽形成のタイミングを決める重要な環境シグナルとして用いている.日長の周期的な変化に対して生物が示すこのような反応を光周性と呼ぶ.光周性においては,光は光合成のエネルギー源としてではなく,情報源として利用されており,光情報はフィトクロムクリプトクロムといった光受容体を介して概日時計に入力され,概日時計を用いた計時機構により日長が測定される.24時間以外の周期を用いた実験や暗期の光中断実験から,光周性において重要なのは明期の長さではなく,中断されない暗期の長さであることがわかっている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:56