液胞膜[tonoplast, vacuolar membrane]

  液胞を取り囲む一重膜で,脂質二重層と膜タンパク質から成る.液胞膜は他の生体膜に比べ脂質の比率が高く,比重が軽い.リン脂質のほかにステロール類,セラミド類,ジガラクトシルジアシルグリセロールを含む.膜タンパク質の一部は液胞膜を介した物質輸送を担う膜輸送体で,液胞の多機能性を賦与している.一次能動輸送体として液胞型プロトンATPaseに加え,植物細胞特有で無機ピロリン酸の加水分解と共役する H+-輸送性ピロホスファターゼ(H+-pyrophosphatase)が存在する.このほか,P型Ca2+-ATPase,P型重金属-ATPase,ABC輸送体が知られている.二次輸送体としては,K+(or Na+)/H+対向輸送体,Ca2+/H+対向輸送体,重金属イオン/H+対向輸送体,NO3-(or Cl-)/H+対向輸送体,排出型K+:H+共輸送体,SO42-輸送体などが知られている.イオンチャネルとしては外向きK+チャネル, Ca2+チャネル,内向きリンゴ酸チャネルなどが報告されている.さらに,液胞内外の浸透圧差に応じた水の拡散を担う水チャネル(アクアポリン)も存在する.液胞膜タンパク質として多量に存在するのは,水チャネル,液胞型プロトンATPase, H+-ピロホスファターゼである.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:21