糖の輸送[sugar transport]

  光合成産物の転流に伴う植物体における糖の輸送は,(1)ソース葉の葉肉細胞から篩部までの輸送, (2)篩部におけるローディング, (3)篩管における輸送, (4)シンク器官における篩管からのアンローディング, (5)その後のシンク細胞までの輸送,の5段階に分けて考えることができる. (1)に関しては,アポプラスティックローディングの場合には篩部周辺のどこかでショ糖がアポプラストに流出すると考えられるが,その場所やそれに関与する輸送担体の有無を含めて,ほとんど解明されていない.一方,シンプラスティックローディングでは篩部までシンプラスト経由で到達すると考えられる.(2)では,アポプラスト経由,シンプラスト経由のいずれか,もしくは両者によるローディングが存在する. (3)については,基本的には圧流説が支持されているが,篩管液中に高濃度で存在するショ糖が輸送過程で漏出し,それを回収するためにショ糖トランスポーターが働いているとも考えられている. (4)についても, (2)と同様にアポプラスト経由とシンプラスト経由の経路があると考えられるが,シンプラスト経由の例が多く知られている. (5)については,植物種や器官,さらにはその成長段階などにより異なり,多様性に富んでいる.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:23