紅葉(黄葉)[autumn coloration]

  秋に葉が紅色に変わる現象で,アントシアン(赤紫色;色素部分だけならアントシアニジン)やフェバロン(タンニンの重合体;ナラ類の茶色)の色とされる.夜間が長くなる(=従来は短日と称していた)により葉柄基部の離層が発達し糖類の移動が妨げられて葉に蓄積し,日光の作用で紅葉が明瞭になる.秋の低温・強光条件で光合成作用が営まれるための保護機能とされ,常緑針葉樹スギ・ヒノキでも気温5℃以下になるとロドキサンチンが針葉に蓄積して赤紫色に変色し,強光ストレスを回避する働きをもつ.
 クロロフィルが秋の落葉前に分解し移動した結果,葉の中に残された黄色色素(カロテノイド)が目立つために葉が黄色に見える現象を黄葉という.秋季に葉の中でタンパク質が分解して移動するときに黄葉が起こると考えられ,紅葉と黄葉が同じ葉で起こることも多い.カエデ属の紅葉,イチョウ・カンパ類の黄葉が顕著である.樹冠レベルの紅葉の進行は開葉パターンを反映し,固定成長型のカエデ,ブナ類では樹冠先端から,自由成長型のカンバ類では老化し相互被陰に遭った加齢葉の位置する樹冠内部から始まる.なお、欧米での黄・赤色の紅葉に比べ、錦秋として美しい紅葉が見られるのは北アジアであるが,氷河期での種の絶滅数が少ないことがその理由である。

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:52