耐陰性[shade tolerance]

  植物が弱光条件下で生存,成長する能力.林床によく見られる種は耐陰性が高い種(陰生植物)といわれる.耐陰性を示す種にはいくつかの生理的,形態的な性質が観察される.弱光下でも呼吸速度が低いために光補償点が低く,正の光合成速度を維持できること,葉面積当たりのクロロフィル濃度が高く光吸収率が高いこと,光環境の変化に対する気孔の応答が速く,変動光環境でも効率よい光合成ができること,葉の重さ当たりの葉面積(比葉面積)や葉への物質の分配が大きく個体重当たりの受光量が高いこと,病原性生物に対する抵抗性が高いことなどの特徴がある.一般に,耐陰性の高い種ほど成長速度が低いという成長と生存のトレードオフ関係が知られている.また、常緑樹では耐陰性の高い種ほど,比葉面積が低く葉寿命の長い葉を作る傾向がある.

関連項目


トップ   編集 凍結解除 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:56