脂質ヒドロペルオキシド[lipid hydroperoxide]

 過酸化脂質ともいう.脂質の不飽和アシル基が酵素的あるいは非酵素的に酸化され生成する.それ自身の反応性は高くないが,遷移金属イオン,金属タンパク質により脂質ヒドロペルオキシドラジカル,または脂質アルコキシルラジカルとなり,ラジカル連鎖反応を開始するとともに周辺の生体分子を酸化し,それらの機能低下をもたらす.植物中ではリノール酸,リノレン酸の9位または13位にヒドロペルオキシ基(-OOH)が導入されたものが主であるが,一重項酸素による酸化では10位,12位にも導入される.非酵素的脂質酸化はグリセロ脂質のアシル基でも起こるが,リポキシゲナーゼによる酵素的脂質酸化は通常遊離脂肪酸に起こり,生成した脂質ヒドロペルオキシドはジャスモン酸,短鎖アルデヒドなどオクタデカノイド類の前駆体となる.脂質ヒドロペルオキシドの消去にはグルタチオンS-トランスフェラーゼ,(リン脂質ヒドロペルオキシド)グルタチオンペルオキシダーゼが関与している.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:44:01