脱炭酸酵素[decarboxylating enzyme]

  カルボン酸のカルボキシル基を炭酸として脱離する酵素の総称で,デカルボキシラーゼともいう.酸化的脱炭酸反応を行う酵素群(EC 1. 群)と行わない酵素群(EC 4.群)に大別される.前者は, NAD (P)+やリポ酸などの還元と同時に脱炭酸反応を行う.後者は,CO2またはH2CO3を生成するリアーゼ反応を行い,各種アミノ酸脱炭酸酵素が代表例である.C4光合成およびCAM型光合成の炭素代謝に関与する酵素としては,C4ジカルボン酸回路においてジカルボン酸の脱炭酸を担うNAD-リンゴ酸酵素(malate dehydrogenase(decarboxylating) (EC 1.1.1.39)), NADP-リンゴ酸酵素(malate dehydrogenase (decarboxylating) (EC 1.1.1.40)), ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(phosphoenolpyruvate carboxykinase (ATP)(EC 4.1.1.49))がある.光呼吸に関してはグリコール酸回路において,ミトコンドリア中でグリシン2分子からセリン1分子を生成する反応を触媒する複合体酵素の一因子であるグリシンデカルボキシラーゼ(glycine dehydrogenase (decarboxylating) (EC1.4.4.2))が知られている.またクロロフィルやヘムの合成経路にもウロポルフィリノーゲンⅢの脱炭酸反応が関わっている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:29