金属マクロサイクル化合物[metal macrocyclic complex]

  環状構造を有する有機化合物が配位した金属錯体のこと.非環状化合物より環状化合物のほうが大きな錯形成能を有することが知られていることから,多数の化合物が合成,研究されている.光合成系では,クロロフィルなど4分子のピロールがメチレンで架橋された環状構造を有するポルフィリン錯体が光エネルギーを吸収し,反応中心へ伝える光捕集色素として重要な役割を果たしている.ポルフィリンは, 400 nm付近に強いソーレー帯吸収と500~600 nm に幅広いQ帯吸収があり,光照射下,キノン類などへ電子移動することが知られている.このことから,様々なポルフィリン錯体がモデル化合物として研究され,人工光合成系へ利用されている.また,4分子のピロールがイミンで架橋したテトラアザポルフィリンのうち,ピロール環がベンゾピロール環になったものをフタロシアニンと呼び,優れた光耐久性から光増感剤としての利用が期待されている.

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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:43:04