P型ATPase[P-type ATPase]

  ATPaseは,その反応機構と進化的な類縁関係で大きく3種類に分類されている.ATP加水分解の過程で,生じたリン酸基がいったんタンパク質に結合しリン酸化された酵素を生じるものをP型ATPaseと呼ぶ.P型ATPaseに分類されるものの代表例は,筋小胞体のCa2+-ATPaseや細胞膜のNa+,K+-ATPaseであるが,植物でもP型ATPaseが見つかっている.原形質膜には1価や2価カチオンあるいはH+の輸送に関わるP型ATPaseが存在する.中でも,気孔の孔辺細胞の細胞膜に存在するP型ATPaseはプロトン勾配を形成することによってK+チャネルを駆動し孔辺細胞の膨圧を調節する重要な役割を担っている。P型ATPaseに対して,FoF1-ATP合成酵素はF型ATPaseと呼ばれる.また,古細菌の細胞膜に見つかったATP合成酵素および植物や酵母の液胞膜などに発見されたFoF1と構造がよく似た酵素はV型ATPaseと呼ばれる.これらのATPaseは,いずれもWalkerモチーフと呼ばれるアデニンヌクレオチドを結合する酵素に特異的な配列をもっている.


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:42:55