X線吸収端近傍構造[X-ray absorption near edge structure]

  X線吸収スペクトル測定においてX線のエネルギーを徐々に上げたとき,原子の内殻(K,L殻)電子の励起に伴う吸収が起こり始めるエネルギー付近(吸収端)での吸収スペクトルの微細構造.XANES (X-ray Absorption Near Edge Structure)と呼ばれることが多い.さらに高いエネルギー領域のスペクトルを広域X線吸収微細構造(EXAFS : Ex-tended X-ray Absorption Fine Structure)と呼ぶ.吸収端エネルギーは元素固有のものである.微細構造の解析理論は確立されていないが, XANESは元素の酸化数や配位環境により変化するため,金属酵素の金属の酸化数や配位構造の研究にフィンガープリントとして用いられる.生体物質への適用にはX線源として放射光の利用が必須である.酸素発生S状態遷移に伴う,マンガンクラスターの酸化数や配位構造の変化の研究などに用いられている.

関連項目


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Last-modified: 2020-05-12 (火) 04:45:38