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*分光光度計[spectrophotometer] [#yb0afa15]
  物質の光学特性の一つである光吸収やそのスペクトルなどを測定する装置.通常,測定可能な波長範囲は,紫外部200 nm 付近から赤外部900 nm 付近であるが,波長範囲を広げた機種もある.光源からの光をプリズム,回折格子などを使って分光し,試料に照射して,その透過光量から吸光度を測定する.用途によって機種や測定方法が異なる.一般的な吸光度の測定には,ダブルビームの機器が使われる.対照側と試料側のそれぞれに同じ光量の測定光を照射したときの試料による吸収光暈を測定する.従来は光学的に同じ光量に揃える方法がとられたが,現在はマイクロプロセッサーによる数値演算により測定される.ランベルト-ベアの法則に基づいて定量分析などを行うことができる.&br; 生物試料は,溶液ではなく懸濁液の場合もしばしばある.このときには試料による散乱のために測定ができない場合もある.こうした散乱を避けるためには,散乱試料のすぐ後に検出器を置くヘッドオン検出器や,測定光を散乱させてしまう特殊な光学素子であるオパールガラスを試料の後に置くことでかなり解決できる.&br; 低温での測定にはクライオスタットを使って温度を制御する方法が採用されるが,市販の分光光度計では光路の中にクライオスタットが置ける場所がないものも多く,一般的には容易ではない.液体窒素温度での測定にはデュワー瓶を使い,試料を窒素中に漬けて測定することもあるが,試料の透明度の確保,デュワー瓶の結露などに十分の注意が必要である.&br; 電子伝達成分などの酸化還元反応に伴う微小な吸収変化を測定する場合もある.この場合は,二波長分光法という特殊な測定法を使う.シングルビーム方式で,異なる波長の光を交互に照射し,それぞれに同期した信号を取り出し,ダブルビームと同じ演算処理で測定をする.この場合,試料の吸収が強くとも微小な変化を検出することが可能になり,たとえば濃い葉緑体試料を使ってP700の測定ができる.&br; 偏光子を使えば,直線二色性なども測定が可能である.この場合,検出器の偏光に対する感度補正を行う必要があり,注意を要する.


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[吸収スペクトル]]
-[[直線(偏光)二色性]]
-[[オパールガラス法]]


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