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*サイクリックAMP(環状AMP)[cyclic AMP,cAMP]
  AMPのリン酸基がリボースにホスホジエステル結合したもの.通常, 3', 5'に結合したものをさし, cAMPと表記するが, 2', 3'に結合したものもある. cAMPはアデニル酸シクラーゼによりATPからつくられ, cAMPホスホジエステラーゼにより分解されAMPになる. cAMPは細胞外からの情報を伝達する物質で,二次情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)の一つである.動物細胞では,cAMP依存性プロテインキナーゼ(Aキナーゼ)を活性化する.その結果Aキナーゼに関連する一連の酵素がリン酸化を受けて活性化され,グリコーゲンの分解が促進されてグルコースが細胞に供給される(cAMPカスケード).その他にもホルモンの生合成や活性の増大に関わる.大腸菌では, cAMP受容タンパク質(CRP)と結合してラクトース分解系の遺伝子(lacオペロン)の発現を促進する.光合成生物ではシアノバクテリア(Cyanophyta)やユーグレナ(Euglenophyta)で存在が確認されている.シアノバクテリアでは,光, pH, O&subsc(2);,イオン濃度などの変化に対応して細胞内cAMP量が増減する.また,細胞運動の調節にも関わる.高等植物では動物や微生物と比較して研究が少なく,細胞内の存在量や生理的機能は明らかでない.アデニル酸シクラーゼはタンパク質の一次構造が大腸菌と動物では大きく異なっているが,シアノバクテリアの触媒領域は動物のものとよく似ているため,動物のものの祖先型と考えられている.高等植物ではまだこの酵素の遺伝子は同定されていない.

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