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*円石藻 [coccolithophorids, coccolithophores] [#l1ca10a7]
~ [[ハプト植物]]のうち,炭酸カルシウムを主成分とする細胞鱗片である円石(コッコリス coccolith)をもつもの.よく知られた属としてエミリアニア('''Emiliania'''),ゲフィロカプサ('''Gephyrocapsa'''),コッコリサス('''Coccolithus'''),プレウロクリシス('''Pleurochrysis'''),ヒメノモナス('''Hymenomonas'''),シラコスファエラ('''Syracosphaera''')などがある.1細胞を覆う円石の集合をコッコスフェア(円石球 coccosphere)とよぶ.円石には,細胞外で形成され方解石の微小な結晶が積み重なってできているホロコッコリス(holococcolith)と,細胞内で形成され複雑で大きな結晶が組合わさってできているヘテロコッコリス(heterococcolith)の2型がある.古くはこれをもとに分類されていたが,世代交代が明らかとなったものでは,単相世代がホロコッコリスをもち(または円石を欠き),複相世代がヘテロコッコリスをもつことが示されている.分類学的には,円石藻はハプト植物門プリムネシウム藻綱(またはコッコリサス藻綱)の中でイソクリシス目の一部(ノエラエラブダス科)と円石藻目(ときに複数の目に分けられる)に属する.
~ 円石藻は海洋に極めて多く,[[植物プランクトン]]の重要な構成要素である.'''Emiliania'''や'''Gephyrocapsa'''は円石をもつため大増殖すると乳白色を呈し(ときに白潮とよばれる),人工衛星からも確認できるほどの大増殖が数ヶ月続くこともある.また円石は炭酸カルシウムからなるため海底に多量に蓄積し,化石記録が豊富である.最古のものは三畳紀後期にまで遡る.ジュラ紀や白亜紀には非常に多く,「白亜紀」の名は円石起源の石灰岩に基づく.その有名な例は英仏海峡の白い崖に見られる.