#freeze
*呼吸商[respiratory quotient] [#o74d7eaf]
  [[好気呼吸]]を行うときに放出する二酸化炭素と外界から吸収する酸素のモルの比(CO&subsc(2);/O&subsc(2);)をさす.炭水化物が呼吸基質として完全に二酸化炭素になる場合には,以下の式が示すように呼吸商は1になる.	C&subsc(6);H&subsc(12);O&subsc(6);+6O&subsc(2); -> 6CO&subsc(2); + 6H&subsc(2);O&br; タンパク質や脂肪のように分子中の酸素の割合が炭水化物よりも少ない物質が呼吸基質になる場合には呼吸商は1よりも小さくなり,それぞれ約0.8,0.7となる.実験的にもトウゴマやナタネなど脂肪を多く含む種子では発芽時の呼吸商は1よりも小さくなり,[[デンプン]]を多く含むコムギのような種子では呼吸商は1に近いことが知られている.一方,成熟した果実などのように,リンゴ酸などの有機酸が基質になる場合には呼吸商は1よりも大きくなる.また,いくつかの生理的な反応が呼吸商に影響する場合がある.硝酸イオンをアンモニウムイオンに変換する[[硝酸同化]]反応では二酸化炭素が放出されるため,硝酸態を与えた植物の根の呼吸商はアンモニア態を与えた根の呼吸商よりも高くなることが知られている.成長速度の速い植物の根では硝酸同化が盛んなために成長速度の遅い植物の根に比べて,呼吸商が高いことが知られている.また部分的に[[嫌気呼吸]]([[発酵]])が起こるような状態では,呼吸商は一時的に1より高くなる場合がある.

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