シスカロテノイド[cis-carotenoid] †
全トランス体からの光異性化では主に9-シス, 13-シスおよびそれらのジ-シス体が,熱異性化では7-シス,9-シス, 13-シスおよびそれらのジ-シス体が生ずる.トランス→シス異性化により,主吸収帯の短波長シフトとモル吸光係数の減少が起こり,シスピークの増大が起こる.光励起によるシス→トランス光異性化は主として励起三重項状態経由で起こり,その量子収率は15-シス> 13-シス>9-シスの順である.紅色細菌では光合成反応中心に15-シス体が選択的に結合し,光保護作用(三重項バクテリオクロロフィルの消去)を担っている.