#freeze
*ガス交換 [gas exchange] [#ze3b178f]
 大気と葉内との間において,光合成・呼吸・蒸散などの過程を通じて生じるCO&subsc(2);・O&subsc(2);・H&subsc(2);Oなどのガスのやりとりをガス交換と言う.これらのガス交換は,主に光合成を行なう植物の器官(特に,葉など)にある気孔を介して,拡散現象によって行われる.たとえば,日中の光があたるとき,植物は光合成と呼吸の両方を行う.このときは光合成で作られるO&subsc(2);のほうが呼吸で使うO&subsc(2);より多いので,気孔からCO&subsc(2);を吸収してO&subsc(2);を放出する.また,気孔を介して失われるH&subsc(2);O(蒸散)は、植物表面の温度を下げるとともに,根から水や栄養分を吸い上げる原動力となっている。一方で,夜など光が当たらないとき,植物は光合成をせず,呼吸だけ行うので,O&subsc(2);を吸収してCO&subsc(2);を放出する.
&br; ガス交換測定法は,葉や植物個体,植物群落の蒸散,光合成や呼吸速度を測定する一般的な方法である.通常,植物試料を光が透過する同化箱に入れ,同化箱に入る空気中のCO&subsc(2);濃度とH&subsc(2);O濃度,およびその流量,同化箱から出る空気のCO&subsc(2);濃度とH&subsc(2);O濃度を測定することにより,葉の光合成・蒸散速度・気孔コンダクタンス・呼吸速度を計算する.光照射下で葉はCO&subsc(2);を吸収し,O&subsc(2);を発生する.これらの比率はほぼ1:1である.また,気孔が十分に開いていると蒸散するH&subsc(2);Oの量はCO&subsc(2);やO&subsc(2);の出入りの数百倍である.したがって,空気に含まれる気体分子の数は同化箱から出る空気のほうが多く,その増加は数%のオーダーに達することさえあるので,その効果だけでも同化箱から出てくる空気のCO&subsc(2);濃度は低下する.したがって,H&subsc(2);O濃度の測定を同時に行うことはきわめて重要である.さらに,これらの測定と葉温の測定を同時に行うことによって,葉内(正確には気孔腔) CO&subsc(2);濃度を計算によって求めることができる.近年,個葉の光合成や呼吸速度は,開放系システムである携帯型の光合成測定装置(Li-Cor社のLI-6400,Heinz-Watz社のGFS-3000など)を用いて測定されることが多くなっている.これらの機器は光強度や温度,湿度,CO&subsc(2);濃度の制御が可能であり,個葉のCO&subsc(2);ガス交換反応を実験室内でも野外でも簡便に測定できる.

** 関連項目 [#if72ced0]
-[[ファーカーのモデル]]
-[[同化箱法]]
-[[拡散抵抗(コンダクタンス)]]

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