#freeze
*ヘリオバクテリアの反応中心[heliobacterial reaction center complex] [#p528e51c]
 [[ヘリオバクテリア]]はグラム陽性の[[光合成細菌]]であり,[[周辺集光装置]]はもたず,[[アンテナ色素]]としては[[バクテリオクロロフィル'''g'''>バクテリオクロロフィルg]]のみをもつ.その反応中心は[[光化学系Ⅰ]]と同じ[[鉄硫黄クラスター]]をもつ反応中心タイプに分類される.酸素にきわめて不安定で,嫌気条件下においてのみ安定な精製標品を得ることができる.酸素存在下では電子伝達成分である鉄硫黄クラスターが破壊され、バクテリオクロロフィル'''g'''は酸化を受けて様々な[[クロロフィル'''a'''>クロロフィルa]]誘導体へと変化するのが原因である(反応中心標品の色調も褐色から鮮やかな緑色に変化する).複合体の構成サブユニットは[['''psh''' 遺伝子>psh遺伝子]]によりコードされ,コアタンパク質(PshA)と[[F&subsc(A);/F&subsc(B);>FA/FB]]タンパク質(PshB)が同定されているが.コアタンパク質はホモ二量体構造((PshA)&subsc(2);)を形成し,2回軸に沿って対称的な反応経路が存在するものと推測される.反応中心内の電子移動スキームは.&br; 
二次電子供与体(シトクロム'''c''') → [[一次電子供与体]]([[P798]]) → [[一次電子受容体]](A&subsc(0);,8&supsc(1);-OH-Chl '''a''') → 二次電子受容体(A&subsc(1);,[[キノン]])? → F&subsc(X); → F&subsc(A);/F&subsc(B);  &br;
と考えられている.[[緑色硫黄細菌型の反応中心]]と同じく,キノンの存在は不明である.一次電子受容体は,植物型の[[クロロフィル]](8&supsc(1);-OH-Chl '''a''')であるのが特徴である.[[シトクロム]]'''c'''は'''petJ'''遺伝子によりコードされ,N末端システイン残基に共有結合した脂肪酸により膜に結合している.このシトクロム'''c'''は隣接するシトクロム'''bc'''複合体から直接電子を受け取り, P798に電子を渡すことができる.また光合成装置に関連する遺伝子群の解析から,ヘリオバクテリアの反応中心はシアノバクテリアの光化学系Ⅰに最も近縁であるとされている.


** 関連項目 [#if72ced0]
-[[光化学系Ⅰ型反応中心]]
-[[緑色硫黄細菌型の反応中心]]
-[[反応中心結合型シトクロム]]

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