ycf3 [ycf3 gene]

 葉緑体ゲノムに保存された機能不明なタンパク質をコードする読み取り枠であるhypothetical chloroplast open reading frameの頭字語からycf3と名付けられた遺伝子であり,酸素発生型光合成を行う陸上植物,藻類,シアノバクテリアに保存されている.遺伝子がコードするYcf3タンパクは,光化学系Ⅰ複合体の分子集合(アセンブリー)に必須な因子であり,タバコとクラミドモナスのycf3遺伝子を欠損させた葉緑体変異株は,光化学系Ⅰ複合体を蓄積できない.Ycf3は膜貫通領域をもたないチラコイド膜のストロマ側に局在する表在性タンパク質で,テトラトリコペプチドリピートモチーフ(TPR motif)を3つもつ.各モチーフは2つのヘリックス(ヘリックスAとB)がヘリックス・ターン・ヘリックス構造をとり,反平行αヘリックスを形成する.TPRモチーフはタンパク質間相互作用やタンパク質複合体の形成を仲介すると考えられている.Ycf3タンパク質は,C末側に膜を貫通できる疎水領域(膜貫通ヘリックス)を一つもつY3IP1(Ycf3-interacting protein 1)タンパクと相互作用することでYcf3-Y3IP1複合体を形成する.Ycf3-Y3IP1複合体は,新規に合成された光化学系Ⅰ反応中心タンパク質(PsaAとPsaB)と一過的に結合することで光化学系Ⅰ反応中心の分子集合に関わり,光化学系Ⅰアセンブリーの初期段階を仲介する因子であると考えられている.

関連項目


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS