*フィコビリソームロッド構造[phycobilisome rodsubstructure] [#x72a0d26]
   [[フィコビリソーム]]のコア([[フィコビリソームコア構造]])から放射状に配置されている棒状の部分構造(ロッドという).代表的なフィコビリソームの場合,6本のロッドがコアから半円盤状に放射していることが確認される.[[シアノバクテリア]]の場合,棒状の部分構造は,通常幾つかのドーナツ状をした[[フィコシアニン]]六量体のドーナツ状円盤(ディスクという)が,それらの穴が連続するように[[フィコビリソームリンカータンパク質]]を媒介にして2〜3個積み重なって形成されている.このロッドのコア側のディスクはリンカータンパク質との相互作用で長波長にシフトしている.一方、ロッドの先端側のディスクは短波長型のフィコシアニン六量体や[[フィコエリスロシアニン]]六量体、[[フィコエリスリン]]六量体など、種に依存して異なっているが、どの場合もコアに接するフィコシアニンディスクより短波長吸収特性(=より高エネルギーを吸収できる)をもっている.[[補色順化]]では、緑色光照射で、この先端部のフィコエリスリンのディスク2個分が赤色光誘導性のフィコシアニンディスクを置き換えることで、より効率的に緑色光を吸収できるロッドをつくることができる.&br;
 一方、海洋性のシアノバクテリアや[[紅藻]]の場合,同じような六量体ディスクの連結の仕方で,コア側からまず幾つかのフィコシアニン六量体が,さらにその外側に幾つかのⅠ型[[フィコエリスリン]]六量体、さらに末端側にⅡ型[[フィコエリスリン]]が連なる.これらのフィコエリスリンには,緑色光を吸収するフィコエリスロビリンだけでなく、青緑色光を吸収するフィコウロビリンも結合しており、フィコシアニンにもフィコエリスロビリンを一部けつごうしている.さらにこれらの六量体間をつなぐリンカータンパク質にもフィコエリスロビリンなどのビリン色素を結合するものがある.なかでも色素結合性のγサブユニット(α,βサブユニットとは異なり,他のフィコビリタンパク質ではみられない固有のリンカーサブユニット)がよく知られているが、他のリンカータンパク質にも色素結合性のものが知られている.このようなロッドを連結する色素結合性リンカータンパク質は上記の淡水性シアノバクテリアのシンプルなロッドでは見られない特徴である.


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