F695

 酸素発生型生物の光化学系II複合体の蛍光発光スペクトルを液体窒素温度などの低温で測定すると,685 nmと695 nmにピークを持つ二つの蛍光バンドが観測される.685 nmにピークを持つバンドをF685,695 nmにピークを持つバンドをF695と呼ぶ.また,それらの蛍光を発する成分を指すこともある.光化学系II反応中心近傍で特別な環境にあるクロロフィル,とくにCP43/CP47 (PsbC/PsbB)に結合するクロロフィルが発するものと考えられている.生物種による波長の違いはきわめて小さい.これは,低温での光化学系Iからの蛍光のピークが種によって~710 nmから~750 nmの間で変動するのと対照的である.光化学系II・系I複合体からの低温での蛍光は,もちろん組織・細胞やチラコイド膜においても観測され,F685とF695がともに認識される.しかし,藻類の組織・細胞では,明瞭には分離されず,しばしば一つのピークとして観測される.F685/F695は光化学系IIの存在の指標としても用いられる.シアノバクテリアと緑藻では,低温での光化学系II・系I複合体からの蛍光の量比は,両複合体の量比と良い相関があることが知られている.F695の強度は強い温度依存性を示し,常温では観測されない.また,媒質の影響も受けやすい.(→低温蛍光スペクトル)

関連項目


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