#author("2021-10-20T16:18:01+09:00","default:edit2015","edit2015") *バクテリオクロロフィル[bacteriochlorophyll] [#e759bd13] 酸素非発生型の光合成細菌から見いだされたクロロフィル型色素分子(緑色硫黄細菌とヘリオバクテリアの反応中心において近年同定された一次電子受容体のChl aP(6.7-dihydro)(BCh1 663)と81-OH&supsc(-);Chl aFを除く).[[クロロフィル'''a'''>クロロフィルa]]の3-ビニル基を3-アセチル基にし,7-8位の二重結合に水素分子をトランス型に付加した[[バクテリオクロロフィル'''a'''>バクテリオクロロフィルa]]Pが代表例.下付きのPはエステル基にフィチル基を有することを意味する.バクテリオクロロフィルのエステル基は,フィチル基だけを有するクロロフィル'''a'''のほかに,ファルネシル基(F)やステアリル基(S)やゲラニルゲラニル基(GG)などのこともある.&br; バクテリオクロロフィル'''a'''以外に,8位上にエキソエチリデン基(環外二重結合)を有する[[バクテリオクロロフィル'''b'''>バクテリオクロロフィルb]],gが,バクテリオクロリン骨格を有する色素として知られている.ある種の紅色細菌にみられるバクテリオクロロフィル'''b'''は,バクテリオクロロフィル'''a'''と同じ3-アセチル基を有し,ヘリオバクテリアから単離されたバクテリオクロロフィル'''g'''は,クロロフィル'''a'''と同じ3-ビニル基を有する.さらに,クロロフィル'''a'''と同じクロリン骨格を有する[[バクテリオクロロフィル'''c'''>バクテリオクロロフィルc]], d, eが緑色細菌の[[クロロソーム]]型アンテナ色素分子として見いだされている.バクテリオクロロフィル '''c'''のC20位のメチル基を水素原子に置換したものがバクテリオクロロフィル'''d'''で,バクテリオクロロフィル '''c'''のC7位のメチル基をホルミル基に酸化したものがバクテリオクロロフィル'''e'''である.バクテリオクロロフィル'''d'''のC7位のメチル基をホルミル基に酸化した(あるいはバクテリオクロロフィル'''e'''のC20位のメチル基を水素原子に置換した)バクテリオクロロフィルfも名前として予約されているが,まだ天然からは見いだされていない.いずれもマグネシウム錯体にバクテリオクロロフィルという名前が与えられてきたが,中心金属が亜鉛に置き換えられた[[亜鉛-バクテリオクロロフィル'''a'''>亜鉛-バクテリオクロロフィルa]]が,ある種の紅色細菌における機能性色素として見いだされている.&br; バクテリオクロロフィル'''a'''Pは,空気(酸素)によって容易に酸化されて,3-アセチルクロロフィル'''a'''に変換される.また,バクテリオクロロフィル'''g'''(b)rも,容易に異性化して, (3-アセチル)クロロフィル'''a'''となる.さらに,弱酸と作用させるだけで,簡単に中心マグネシウムイオンが脱離してプロトンに置換され,バクテリオフェオフィチンになる.C132位はβ-ケトエステル(バクテリオクロロフィル '''c''', d, eを除く)であるので反応性に富んでおり,塩基によるエピマー化や酸素やアルコールによるアロマー化が起こりやすい.光励起による酸化分解も起こりうる.以上のようにバクテリオクロロフィルはきわめて反応性が高く,取り扱いには注意を要する.純品が必要な場合には, HPLCなどによる精製が不可欠である. 非酸素発生型の光合成細菌から見いだされたクロロフィル型色素分子(緑色硫黄細菌とヘリオバクテリアの反応中心において近年同定された一次電子受容体のChl aP(6.7-dihydro)(BCh1 663)と81-OH&supsc(-);Chl aFを除く).[[クロロフィル'''a'''>クロロフィルa]]の3-ビニル基を3-アセチル基にし,7-8位の二重結合に水素分子をトランス型に付加した[[バクテリオクロロフィル'''a'''>バクテリオクロロフィルa]]Pが代表例.下付きのPはエステル基にフィチル基を有することを意味する.バクテリオクロロフィルのエステル基は,フィチル基だけを有するクロロフィル'''a'''のほかに,ファルネシル基(F)やステアリル基(S)やゲラニルゲラニル基(GG)などのこともある.&br; バクテリオクロロフィル'''a'''以外に,8位上にエキソエチリデン基(環外二重結合)を有する[[バクテリオクロロフィル'''b'''>バクテリオクロロフィルb]],gが,バクテリオクロリン骨格を有する色素として知られている.ある種の紅色細菌にみられるバクテリオクロロフィル'''b'''は,バクテリオクロロフィル'''a'''と同じ3-アセチル基を有し,ヘリオバクテリアから単離されたバクテリオクロロフィル'''g'''は,クロロフィル'''a'''と同じ3-ビニル基を有する.さらに,クロロフィル'''a'''と同じクロリン骨格を有する[[バクテリオクロロフィル'''c'''>バクテリオクロロフィルc]], d, eが緑色細菌の[[クロロソーム]]型アンテナ色素分子として見いだされている.バクテリオクロロフィル '''c'''のC20位のメチル基を水素原子に置換したものがバクテリオクロロフィル'''d'''で,バクテリオクロロフィル '''c'''のC7位のメチル基をホルミル基に酸化したものがバクテリオクロロフィル'''e'''である.バクテリオクロロフィル'''d'''のC7位のメチル基をホルミル基に酸化した(あるいはバクテリオクロロフィル'''e'''のC20位のメチル基を水素原子に置換した)バクテリオクロロフィルfも名前として予約されているが,まだ天然からは見いだされていない.いずれもマグネシウム錯体にバクテリオクロロフィルという名前が与えられてきたが,中心金属が亜鉛に置き換えられた[[亜鉛-バクテリオクロロフィル'''a'''>亜鉛-バクテリオクロロフィルa]]が,ある種の紅色細菌における機能性色素として見いだされている.&br; バクテリオクロロフィル'''a'''Pは,空気(酸素)によって容易に酸化されて,3-アセチルクロロフィル'''a'''に変換される.また,バクテリオクロロフィル'''g'''(b)rも,容易に異性化して, (3-アセチル)クロロフィル'''a'''となる.さらに,弱酸と作用させるだけで,簡単に中心マグネシウムイオンが脱離してプロトンに置換され,バクテリオフェオフィチンになる.C132位はβ-ケトエステル(バクテリオクロロフィル '''c''', d, eを除く)であるので反応性に富んでおり,塩基によるエピマー化や酸素やアルコールによるアロマー化が起こりやすい.光励起による酸化分解も起こりうる.以上のようにバクテリオクロロフィルはきわめて反応性が高く,取り扱いには注意を要する.純品が必要な場合には, HPLCなどによる精製が不可欠である. ** 関連項目 [#if72ced0] -[[バクテリオクロリン]] -[[クロロフィル]] -[[クロロフィル類の吸収スペクトル]]