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*プロトン(H&supsc(+);,水素イオン)の電気化学ポテンシャル(差) [electrochemical potential of proton] [#tb3c3598]
H&supsc(+);(プロトン)の電気化学ポテンシャル差はH&supsc(+);濃度差と[[膜電位]]から成り,生体膜におけるエネルギー変換において中心的位置を占めている([[Mitchell>ミッチェル]]の[[化学浸透説>化学浸透説(化学浸透圧説)]]).膜で隔てられたH&supsc(+);の電気化学ポテンシャル差(Δ&font(o,11){μ};H&supsc(+);)は. RT ln[H&supsc(+);]i/[H&supsc(+);]o + FΔΨで表され,Rは気体定数,Tは絶対温度,Fはファラデーの定数,ΔΨは膜電位(膜の両側の電位差)である。ln[H&supsc(+);]=2.303 log[H&supsc(+);]= -2.303 pH だから, Δ&font(o,11){μ};H&supsc(+); = -2.303 RT(pHi-pHo) + FΔΨ = -2.303RT(ΔpHi-o) + FΔΨ1 mol のH&supsc(+);の移動で利用できるエネルギー量は膜内外のpH差(ΔpHi-o)が1のとき25℃では,2.303 RT(ΔpHi-o) =5.7 kJ mol&supsc(-1);. 膜電位(ΔΨ)が1Vのとき,FΔΨ=96.5 kJ mol&supsc(-1); となる.ATP合成の標準自由エネルギー増加(Δ'''G'''')は30.5 kJ mol&supsc(-1);.ATP 1 分子が合成されるとき, ATP合成酵素を通って移送されるH&supsc(+);数は,ATP合成酵素のプロトンチャネルを構成するcサブユニットの数に依存するため、3~5の間であるが整数にはならないと考えられる.かりにH&supsc(+);/ATP比を4と仮定すれば, ATP1分子の合成をΔpHのみでまかなうには約1.4のpH差が,ΔΨのみでまかなうには約79 mV の電位差が必要と計算される.光リン酸化を行っているチラコイド膜やクロマトホアでは,これを十分上回るΔ&font(o,11){μ};H&supsc(+);が実測されている.
** 関連項目 [#if72ced0]
-[[プロトン輸送(H+輸送)]]