#author("2021-09-15T10:18:54+09:00","default:edit2015","edit2015") *光化学系Ⅰ反応中心[PSI reaction center] [#uedf6d07] 植物とシアノバクテリアの[[光化学系Ⅰ]]反応中心複合体は,チラコイド膜上にあり,[[光化学系Ⅱ]]から供給される電子でNADP&supsc(+);を還元する.好熱性シアノバクテリアの光化学系Ⅰ反応中心構造が2001年にX線結晶解析で明らかにされた.中核部分はPsaA/PsaBの2つのよく似たポリペプチドのヘテロ二量体から成り,その膜面の上下をPsaC, D, E, F,膜内周囲をPsaI, K, L, Xなどの膜貫通ポリペプチドが取り巻く大型複合体である.95分子のクロロフィル'''a''', 22分子のカロテノイド,2分子のフィロキノン,3つの4Fe&supsc(-);4S型鉄-硫黄センターを内部にもち,3分子の[[ホスファチジルグリセロール]],1分子の[[モノガラクトシルジアシルグリセロール]]が結合する.&br; 周囲を取り巻くクロロフィルとカロテノイドはアンテナ色素として光エネルギーを捉え,中心部にある電子供与体[[P700]](クロロフィル'''a'''とその立体異性体クロロフィル'''a''''から成る二量体)にエネルギーを渡す. P700の左右に2分子のクロロフィル'''a''',さらにその先にまた2分子のクロロフィル'''a'''単量体(一次電子受容体A&subsc(0);)が対称的に配置され,[[フィロキノン]](Qk,あるいはA&subsc(1);, [[鉄硫黄クラスターX]](F&subsc(X);(A&subsc(2);)),さらに外部タンパク質PsaC内の[[鉄硫黄クラスターA]], B (F&subsc(A);,F&subsc(B);)へと電子が流れ,フェレドキシン-NADPオキシドレダクターゼ(FNR)の働きで外部の電子受容タンパク質[[フェレドキシン]]に伝えられ, [[NADP&supsc(+);>NADP(H)]]を還元する.光酸化されたP700は外部の水溶性タンパク質[[プラストシアニン]](種によっては[[シトクロム'''c'''&subsc(6);>シトクロムc6]])で再還元される.アンテナクロロフィルは同じクロロフィル'''a'''であるが,全体として光化学系Ⅱよりもより長波長に吸収帯と蛍光帯を示す.結合クロロフィルの種類や数は異なるが,この構造は[[緑色硫黄細菌]]と[[ヘリオバクテリア]]のもつ[[光化学系Ⅰ型反応中心]]とほぼ共通と考えられる. 植物とシアノバクテリアの[[光化学系Ⅰ]]反応中心複合体は,チラコイド膜上にあり,[[光化学系Ⅱ]]から供給される電子でNADP&supsc(+);を還元する.好熱性シアノバクテリアの光化学系Ⅰ反応中心構造が2001年にX線結晶解析で明らかにされた.中核部分はPsaA/PsaBの2つのよく似たポリペプチドのヘテロ二量体から成り,その膜面の上下をPsaC, D, E, F,膜内周囲をPsaI, K, L, Xなどの膜貫通ポリペプチドが取り巻く大型複合体である.95分子のクロロフィル'''a''', 22分子のカロテノイド,2分子のフィロキノン,3つの4Fe&supsc(-);4S型鉄硫黄クラスターを内部にもち,3分子の[[ホスファチジルグリセロール]],1分子の[[モノガラクトシルジアシルグリセロール]]が結合する.&br; 周囲を取り巻くクロロフィルとカロテノイドはアンテナ色素として光エネルギーを捉え,中心部にある電子供与体[[P700]](クロロフィル'''a'''とその立体異性体クロロフィル'''a''''から成る二量体)にエネルギーを渡す. P700の左右に2分子のクロロフィル'''a''',さらにその先にまた2分子のクロロフィル'''a'''単量体(一次電子受容体A&subsc(0);)が対称的に配置され,[[フィロキノン]](Qk,あるいはA&subsc(1);, [[鉄硫黄クラスターX]](F&subsc(X);(A&subsc(2);)),さらに外部タンパク質PsaC内の[[鉄硫黄クラスターA]], B (F&subsc(A);,F&subsc(B);)へと電子が流れ,フェレドキシン-NADPオキシドレダクターゼ(FNR)の働きで外部の電子受容タンパク質[[フェレドキシン]]に伝えられ, [[NADP&supsc(+);>NADP(H)]]を還元する.光酸化されたP700は外部の水溶性タンパク質[[プラストシアニン]](種によっては[[シトクロム'''c'''&subsc(6);>シトクロムc6]])で再還元される.アンテナクロロフィルは同じクロロフィル'''a'''であるが,全体として光化学系Ⅱよりもより長波長に吸収帯と蛍光帯を示す.結合クロロフィルの種類や数は異なるが,この構造は[[緑色硫黄細菌]]と[[ヘリオバクテリア]]のもつ[[光化学系Ⅰ型反応中心]]とほぼ共通と考えられる. #ref(PSI reaction center.png) ** 関連項目 [#if72ced0] -[[光化学系Ⅰ複合体]] -[[光化学系Ⅰ複合体の結晶構造解析]] -[[光化学系Ⅰ反応中心コアタンパク質]]