二酸化炭素(CO2)の濃度は,大気中,水中,土壌中などで環境によって変化することから,光合成を規定する環境要因の一つである.高等植物における気孔の開閉や藻類における無機炭素濃縮機構が,CO2濃度の調節を受けるので,CO2の欠乏ストレスに馴化する過程にシグナル伝達系があるとされる.炭酸脱水酵素などCO2応答性遺伝子の転写調節因子が緑藻クラミドモナスならびにシアノバクテリアで知られているが,CO2センサーの実体は不明である. CO2濃度変化に応じた孔辺細胞中のカルシウムイオン濃度の変化が,気孔の開閉に関わっている.精子の運動性や受精には,サイクリックAMPを介したCO2シグナル伝達が関わっている.