無機炭素濃縮機構[inorganic carbon concentrating mechanism]

  二酸化炭素濃縮機構, CO2濃縮機構ともいわれ,こちらの方がオリジナルの用語であり,CCMと略記される.C4植物CAM植物シアノバクテリアおよび*多くの真核藻類などがもっている機構である.これらの光合成生物はこの機構によってRubisco周辺のCO2濃度を上昇させ,高効率でCO2固定を行っている.C4植物とCAM植物においてはHCO3-PEPカルボキシラーゼの働きによりC4化合物 (リンゴ酸,オキサロ酢酸)として固定する.これらの化合物の分解によって生じるCO2がRubisco周辺のCO2濃度を上昇させる.C4植物においてはC4化合物 の合成と分解はそれぞれ葉肉細胞維管束鞘細胞で行われ, CAM植物では同一細胞内で昼と夜に分けて行われる.これら高層植物が有するCO&(2);濃縮機構を生化学的なCO2)濃縮機構(biochemical CCM)として以下に示す藻類型のCCMと区別する場合がある.;&br; シアノバクテリアおよび真核藻類の無機炭素濃縮機構はCCM (CO&subsc(2-concentrating mechanism)或いは生物物理的無機炭素濃縮機構(biophysical CCM)と名づけられており,光エネルギーによって駆動されるCO2取り込み系とHCO3-輸送体が主要な役割をしている.細胞内に取り込まれた無機炭素はHCO3-として蓄積された後,シアノバクテリアではカルボキシソーム,緑藻ではピレノイド内で炭酸脱水酵素によってCO2に変換されRubiscoによって固定される. CO2取り込み機構については,拡散によって細胞膜を透過したCO2チラコイド膜上で膜不透過性のHCO3-に変換されると考えられている.シアノバクテリアや多くの真核藻類RubiscoのCO2に対する親和性は高等植物に比べてはるかに低く,空気と平衡状態にある水中のCO2濃度(約10μM)ではほとんど機能しない.したがって, CCMが欠損した変異株はこれらの条件下では生育できない.シアノバクテリアからはABC輸送体型のHCO3-輸送体とNa+/HCO3-共輸送体2種の合計3種類のHCO3-輸送体が見いだされている.また, CO2取り込み系には異なるNDH複合体が関与する2つのルートが存在する.一方は低CO2条件下で誘導され,CO2に対して高い親和性を示すが,もう一方は高濃度のCO2下で培養した細胞中にも存在し, CO2に対する親和性は低い.HCO3-輸送体は低CO2濃度下で誘導される.一方,緑藻などの真核藻類では無機炭素取り込みに関与するシアノバクテリア遺伝子と相同な遺伝子をもたないことから,緑藻のCO2取り込み系とHCO3輸送体はシアノバクテリアとは異なると考えられている.これまでに緑藻で1種および珪藻で1種の細胞膜型HCO3-輸送体が機能同定されている.また,これらの藻類では葉緑体包膜型のHCO3-輸送体およびチラコイドルーメン型炭酸脱水酵素を含めたピレノイド因子のCCMへの関与が示唆されている.


Last-modified: 2015-03-23 (月) 16:35:42 (882d)

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