循環的電子伝達反応によって形成されるチラコイド膜内外のH+の電気化学的な勾配を利用して行われるATP合成反応という意味.循環的電子伝達反応は,光化学系Ⅰから電子を受け取ったフェレドキシンやNADPHが再び光化学系Ⅰ上流のプラストキノンやシトクロムb6f複合体に電子を渡すため,正味の基質の変化は起こらない.しかし,チラコイド膜内腔(ルーメン)側へのH+の輸送は行われるので,これを駆動力としてATPを合成することができる.循環的電子伝達反応に関わるタンパク質として,PGR5とPGRL1が同定されている.一方,光化学系Ⅱで生じた酸素が光化学系Ⅰより電子を受け取り還元される場合にも見かけ上基質の変化は起こらないが,このような電子伝達に共役したATP合成は,偽循環的光リン酸化と呼ばれる.