葉緑体呼吸

PGR5 [PROTON GRADIENT REGULATION 5]

 強光下でNPQ誘導能が低いシロイヌナズナpgr5 (proton gradient regulation 5)変異体から単離,同定されたPGR5遺伝子がコードする8 kDaのチラコイド膜タンパク質.光化学系Ⅰ循環的電子伝達に関わることが提唱されているが,タンパク質としての機能は未知である.膜貫通ドメインをもたないが,チラコイド膜のストロマ側に局在する.PGRL1タンパク質の欠損により不安定化する.シロイヌナズナpgr5変異体では,光照射下でプロトン駆動力が減少し,P700が還元する.そのため,光化学系Ⅰが光傷害を受けやすく,特に光強度の変動する環境下では,シロイヌナズナpgr5変異体は生育できない.NDH複合体を同時に欠損すると,二重変異体は著しい生育阻害を示す.シロイヌナズナのPGR5タンパク質に1アミノ酸置換を導入すると,この植物の光合成は,アーノンの発見した光化学系Ⅰ循環的電子伝達の阻害剤であるアンチマイシンAに対して耐性を示す.PGR5は,クラミドモナスにおいても同様の機能をもつことが示されている.

関連項目


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